大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)2349号 判決

被告人 張洛道

〔抄 録〕

論旨第一。

原判決が没収した換価代金と、罪となる事実の目的物として認定した合成清酒との関係、即ち原判示合成清酒が換価された事実を特に判示していないことは所論のとおりである。

しかし、没収の理由となる事実は罪となる事実ではないから、換価代金と罪となる事実の目的物として認定された物との関係を判文に特に明示する必要はないのである。判文並びに記録全体からこれが認められれば足りるのである。

而して原判決挙示の証拠を記録によつて検討すれば、本件換価代金は押収に係る原判示各罪の合成清酒及び壜等の換価代金(合計三百九拾円)であることが明瞭に認めうるのであるから、原判決は所論のように理由を附せない違法の存するものとは認められない。論旨は理由がない。

同 第二。

換価代金というのは、沒収することのできる押収物で、滅失若しくは破損の虞があるもの又は保管に不便なものについては、これを売却してその代価を保管することができるという、刑事訴訟法第一二二条の規定によつて、押収された物が売却処分された代金であるか、或は国税犯則取締法第七条第三項の規定によつて差押又は領置物件で腐敗、損傷の虞あるものを公売に付して供託した其の代金かであるから、押収物それ自体と何等かわりのないものなのである。

従つて酒税法には特に換価代金の没収の規定などは定めてないのである。

而して本件換価代金も右と同一性質のものであることは本件記録によつて、明瞭であるから、原判決が本件換価代金を酒税法第五六条の規定のみによつて没収したのは正当であつて、原判決には何等所論のような法令適用の誤は存しない。なお所論は酒税法第六一条を没収の規定の如く誤解しているかのようであるが、同条は酒税法違反の事実に対しては刑法総則規定の一部を適用しない旨の規定である。論旨は理由がない。

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